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「殺された側は報復のために相手を殺す。終わりのない報復の殺し合いが続いていく。その悪循環を断ち切るにはどうすればよいのか。日本の社会に目を向けると、いじめられた子が復讐の事件を起こす。虐待された子がやがて虐待する側にまわる。これも同じ悪循環だ。もうひとつの道――『殺さないことだ』という、ライオンの問いかけは重い。」――柳田邦男(巻末の解説・あとがきより)
アフリカの奥地にある小さな村。今日は、成長した少年たちが戦士になる、特別な日だ。ヤクーバたち少年は、ライオンとひとりで戦って、勇気を示さなければならない。
夜になって、ヤクーバはついにライオンに出会った。しかしライオンは傷ついていて、その目はこう語っていた。
「おまえには二つの道がある。わしを殺せば、りっぱな男になったと言われるだろう。もうひとつの道は、殺さないことだ。そうすれば、ほんとうに気高い心をもった人間になれる。だがそのときは、仲間はずれにされるだろう。どちらの道をえらぶか、それはおまえが考えることだ。」
ヤクーバは、ライオンを倒し、名誉ある戦士になるのか。それともーー
フランスの作家デデュー・ティエリーによる迫力のあるモノクロの絵が、重たいテーマとあいまって読み手にぐいぐいと迫る絵本。
卒業式などの節目の読み聞かせにも大人気の1冊です。
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