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「ユーモアはひきがえるに似ている」とフランスの作家アンドレ・モーロアが言ったそうです。
「どちらも解剖することができるが、ユーモアもひきがえると同じで解剖の結果しばしば死んでしまう」
なにも知ったか振りしてモーロアごときおじさんを引き合いにだすことはない。
この言葉と言葉が火花を散らして壮絶に斬りむすぶ対談に、「まえがき」や「紹介」はいらないでしょう。
こんなまえがきの小文はすっとばして、まず対談を読んでみてください。
ここにはすさまじいばかりのユーモア、ジョーク、ギャグ、パロディが雨あられと飛び交っている。地口、隠語、駄じゃれ、毒言のたぐいがあふれている。そしてそれらが次第にエスカレートして、しまいには人生の荘厳な箴言と透明な教訓にまで昇華している。このことに舌を巻き、くやしいが思わずえりを正して謹聴してしまうのです。
まむしさんとつかちゃん。日芸の先輩後輩のラジオの天才が語り合ったこの対談の側にいたら、たぶんつばきが飛び込んできたでしょう。口臭も匂ってきたでしょう(失礼! そんなものはない)。しかしくっきりとした口跡の快い響きに、うっとりと酔ってしまったことは間違いないでしょう。
--石井英夫「まえがきにかえて」より
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