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ホーレス・ウィルソン(米国)、フレデリック・ストレンジ(英国)、中馬庚(日本)、この三人が「日本野球」の基礎を築いた。日米の「野球」の違いとは何か。「プロ」主動の米国、「学生野球」が起源の日本。この野球観の違いが「野球」の原点にある。過激な言い方だが、メジャーリーグの歴史はイカサマ、インチキの歴史であり、フェアプレーの反対の「アンフェアネス」の歴史だ。「賭け」「八百長」に始まり、スピットボール(不正投球)、ビーンボール(威嚇投球)、サイン盗み、トリックプレー、自軍攻撃時の空調操作、そしてあとを絶たない薬物問題。このときにあって、その存在価値を主張できるのが「日本野球」というものだ。ベースボールは日本での創始のとき、当該校の教師や学生によって一段と高いものにされた。いま全国に散らばる有名無名の指導者たちや純真な球児たちによって、それはつねにより高いものへと変革が続けられている。これほど「クリア」で「クリーン」なベースボールが日本に保存されているというのは、まさに「世界遺産」級の話である。メジャーリーグで、イチローがあるいは松井秀喜がアンフェアなプレーをしたなんて聞いたことがあるだろうか。そんなことをする彼らの姿を想像することができるだろうか。彼らがグラウンドで唾を吐かないことだけでも際立っている。私たちは「日本野球」の歴史と伝統をつくってこられた先人に感謝しなければならない。それにはまず、その足跡を正しく理解することだ。その理解が、いつかは「世界野球」の真の推進に役立つ、と信じたい。
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