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詩心が響映する吉田文学40年の遺珠68篇。
古今東西の文学に通暁し、言葉による表現の重要性を唱え、独自の豊かな文学世界を構築した天性の文人・吉田健一。その軽妙洒脱な食味随筆、紀行文、イギリス滞在記を始め、最初期のラフォルグ論、ボードレール論、鴎外論、また、後年の文学的開花に密接に繋がる厖大な翻訳の「解説」、さらには、最晩年の中島敦論まで、精緻な調査によって発見された新資料を含む、単行本未収録エッセイ68篇。
島内裕子
没後30年が過ぎようとしている今、未収録作品も含めて、吉田健一の全貌をわがものとし、不断にその清新な感情と感覚に触れることは、かけがえのない生きる喜びとなって、わたしたちの心を潤わせてくれる。吉田健一の文学世界はすべて、彼の詩心が響映した精緻繊細であると同時に、のびやかでのどかな稀に見る別天地である。しかし、その別天地は、彼の言葉によって実在がわたしたちに保証されている現実世界でもあるのだ。――<「解説」より>
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