膨大なデータから現象を理解・予測するためには、「モデル」を構築し「データ」に当てはめるのが有効である。そして有効な情報抽出を行うには、「適切な複雑さのモデル」を選択して数理的処理を行うことが不可欠である。この「モデル選択の指針」として、1970年代初頭に赤池弘次博士によって、汎用性と情報数理的裏づけを併せ持った「赤池情報量規準(AIC)」が提唱された。今では、最も重要な情報量規準の一つとして多くの統計ソフトに備えられて活用され、広い分野の研究・開発に貢献している。また赤池博士によって拓かれた、情報量に基づく知的情報処理の分野は、統計学・制御理論・信号処理・パターン認識・人工知能・符号理論・機械学習・統計物理ほか、多分野にまたがる学際的なものになっており、現在もなお、さらに発展し続けている。
本書は、赤池博士の業績と京都賞(2006年度)受賞を記念して、赤池博士ご自身を始めとして世界的に活躍されている関係の深い4人の研究者に、AICならびに関連する知的情報処理の分野について、発展の軌跡、最新の成果、今後の展望などをわかりやすく詳説していただいたものである。
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