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1930年文学作品に今日的問題を読む──。第二次大戦を引き起こした各地域の状況を現代と比較することによって、現代という時代の戦前性、あるいは戦争に突入した30年代との類縁性が見えてくるのではないか。和光大学総合文化研究所主催のシンポジウムをもとにした論文集。小森陽一氏の講演録「グローバルファシズムと言語戦略」を併載。
目次
はじめに 杉本紀子
ポップスに聴く今日の声 植村洋
ポスト〈九・一一〉の不安
連鎖する暴力
核の恐怖
小さい神
滅びの物語
黒い森
世の中どうなっちゃった
「愛はどこに」
権力を宿すメディア
「ヨーロッパの平和」の挫折と成就
──ロマン・ロランとシュテファン・ツヴァイクの出会いの意味について 伊藤光彦
ふたつの「戦前」、そしてツヴァイクとロラン
ふたりのヨーロッパ人の邂逅──惹き合うたましい
ロランにおける「精神の法廷」──行動的思索者の軌跡
ツヴァイクのヨーロッパ思考──朽ちゆく時代の記録者
希求されたヨーロッパ
『ジャン・クリストフ』と『エレミヤ』──憎しみを超える二つのたたかい
ドイツ対フランスの構図
特に、「戦前」としての世紀転換期
蘇生と頽廃、そしてヨーロッパのふたつの戦後
ロラン、ツヴァイクの「遺志」のゆくえ
時代とのつきあい方──ファシズムの時代を生きた三人を読む 杉本紀子
1両次大戦間のヨーロッパ
三〇年代という時代/二月六日事件
2ファシズムと闘う──アンドレ・ジッドの場合
戦後のジッド/反ファシズム/「文学と革命」/「文化の擁護」/その後のジッ 朝鮮のモダニスト、李箱
二 「敗者」の思想
三 近代の烏瞰図
四 李箱とこの時代
グローバルファシズムの言語戦略 小森陽一
二〇〇五・九・一一の総選挙と「沈黙の螺旋」
「沈黙の螺旋」を作り出す[宣伝]と[統制]
ナチズム批判のもう一つのアプローチ
祭祀的政治
言語以前の世界へ退行させられる人間
言葉のすり替えによる世論操作
質疑応答
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