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本書は朝鮮儒学史に関し,わが国で初めて紹介される本格的な概説書である。
高麗末期に伝来した程朱の性理学は,朝鮮王朝期に入り,主理派と主気派を中心に朝鮮独自の多様な展開を見た。著者はこれら歴史的な二つの流れに特に注目して,朝鮮儒学の哲学的な側面である性理学の本質を解明するために,気迫に満ちた鋭利な思想分析を展開する。
朝鮮王朝期に沸騰した理気心性論の理論的な考察のために,主に四端七情論と人心道心説,人物性同異論について精緻な分析を試みることにより,朝鮮儒教思想の核心に迫った定評の書である。
近くて遠い国と言われてきた朝鮮。わが国の朝鮮思想研究にあって,朝鮮儒学の内容や精神自体と直に対決しその微妙な差異を見極め,朝鮮思想の深層を剔るような専門書は皆無である。本書を通して朝鮮の社会と文化を支えてきた基盤は何か?多くの学問的啓発と示唆に富んだ一書となろう。
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