取り寄せ不可
中世の人々の信仰を集めた熊野詣は、苦しい道を辿れば辿るほど来世の利益が約束されるという困難な旅であった。建仁元年、後鳥羽院に同行を命じられた藤原定家は、先駆けとして先々の儀式や食事、宿舎の世話をする役目だった。のんびり歌を作る暇もない中で、時には寝過ごして慌てることもあったが任務をまっとうした。不平不満を漏らす同行記録からは、定家の人間的な側面がよく見える。熊野を熟知した著者ならではの定家考。
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