筆者らがプログラミング教育を始めたころにはコンパイラなどの処理系は高価なものが多く、1台あたり数万円ですむボーランドのTurbo CやマイクロソフトのQuick Cが登場したころには、統合環境の便利さもあいまって実習に使うには、もうこれしかないと思ったりしたものでした。また、そのころはパソコンの処理能力も貧弱な割には高価であり、学生には所有することを気軽にお勧めできないような時代でした。
しかしながら、現在の恵まれた環境はどうでしょうか。安価なパソコンでも必要十分以上な能力を持っています。さらにTurbo Cの後継であるBorland C++ Compilerや、Quick Cの血筋であるC#.NETが、コマンドラインコンパイラであるとはいえ、無償で利用できるようになったのです。さらにはコマンドラインコンパイラの使い難さを払拭し、統合環境といえる操作性を付加する安価なシェアウェア(さらに教育関係には作者がフリーで認証してくれる)も発表されています。この時代にプログラミングを学ぶ皆さんは、とても幸運ですし、羨ましくすら感じます。
本書では、ほぼ無料でそろえることができるBorland C++ Compilerと、統合環境を構築するためのシェアウェアCPadを用いての実習環境を構築します。その環境を用いて、初めてC言語に触れる初学者のために、コンベンショナルなC言語文法のうちでも基礎的な部分のみを取り出して解説しています。C++やC#の文法は含みませんが、初めての人でもプログラミングが嫌いにならないように簡単なエッセンスを題材にしています。このため、文科系の学生や昨今流行のIT講習会のテキストとしても最適な教材になりえるものと思っています。
教育関係でパソコンさえあれば、すべての環境を無償でそろえることが可能となります。ぜひとも、本書と、本書で紹介する環境を用いて、一人でも多くの諸君にプログラミングの楽しみを知っていただきたいと願っています。
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