丸くて硬い大豆の粒から、ふわり真白な豆腐。新鮮な魚さえあれば何なくできるカマボコ、チクワ。コンニャクも醤油も酢も~、素人の手には負えないものと思っていたのがいとも鮮やかにでき上がってしまう楽しさ、驚き。
暮しの中から生まれ受け継がれてきたベーシックな食べ物23品を、全国各地の先輩方に手ほどき願い、素朴な版画を交えて丁寧に再現しました。
本書は1981年に創刊した雑誌『自然食通信』の連載6年分をまとめたものです。その取材のなかから見えてきたものは、どれもこれも、かつてはあたりまえに日々の営みの一つとして作られていたものだという事実でした。
また土地土地で、あるいは家々で実に多彩で自由な作り方をしているということも、思いがけない発見でした。豆腐一つとっても、ごく最近でこそ、マーケットにも並んでいるのを見かけますが、豆腐は四角くて冷たいものと思っていた方がほとんどと思います。
けれど、たとえば沖縄では「豆腐は熱いうちに」と、ふわふわのアツアツを食べたものだとのことですし、岡山県のある地域に伝わる「玉豆腐」という丸い豆腐、おからも分けずに固める岩手の豆腐、女の人たちが寄り合い、大鍋で煮て作る高知の村の豆腐づくりなどなど、こうしたことを本書で初めて知った、「目からウロコ」の思い、といったお便りがたくさん届いています。
また、本書では素材である農作物の生産現場の実情や、加工の際に使われる添加物についてなど、食べ物の素顔に迫る記事が充実していることも、大きな特徴といえます。
1987年に刊行された旧版の中の作り手の問い合わせ先などの情報と、添加物表示制度の動向などを説明した巻末の補足を改訂し、新装改訂版になりました。
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