明治16年に鹿児島で創刊された銅版画魚譜、
約百年ぶりの復刻。
博物学の書誌学的な価値だけでなく、実に神秘的。
もっと身近な生き物を知るという意味で価値がある。
1883(明治16)年、第1回水産博覧会出品本。絵師の木脇啓四郎、二木直喜の二人が、魚市場に揚がる魚類を一年半にわたって写生。錦江湾を中心に魚類284種、蝦蟹32種、頭足類(イカ、タコなど)8種、ナマコ1種の計325種が、微細に描かれた見事な銅版画魚譜完全復刻版である。巻末に全学名も掲載。
「麑海」とは、鹿児島の海のことであり、明治初年の鹿児島の海にこれほど多くの魚や蝦蟹類が生息していたというのは驚くに値する。本書が、「魚は水族館でしか見たことがない」という子どもたちが、身近な生物に興味を持つきっかけになればいい。また、遠い日々、生物採集に明け暮れた往時の少年少女たちにも郷愁を感じさせる一冊になるにちがいない。本書のもう一つの魅力は、細密画の色合いをもつ銅版画の美しさであり、美術史的価値もある本だということだ。
明治16年鹿児島縣勤業課により初版発行(オールカラー三分冊。1セットのみ)
明治44年鹿児島縣立第一鹿児島中学校により再版発行(単色の銅版画普及版)
全種の学名表付記
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