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現代日本の負担分配の不公正を解明し、負担を分けもつための討論の空間を拓く
戦後日本の保守政治の特徴は、国際的にも突出した利得への志向性にある。補助金に代表される利得の獲得競争は、半世紀にわたる歴史の中で、政府・地方自治体における膨大な公的債務の累積を生んだ。また、補助金獲得競争の中で展開された経済政策は、公害・廃棄物の発生や環境破壊といった形での環境問題を引き起こしてきた。現在では、こうして生じた債務や廃棄物などの負担への対応が大きな社会問題となり、政府・自治体が様々な形で解決に取り組んでいる。ただしこれらの取り組みは、十分な成果を挙げているとは言いがたい。本書では、その原因を「政策公共圏」における原則形成能力の衰退と、これによる負担分配能力の低下に求める。
事前抑制にせよ事後処理にせよ、負担に対処するためには、いずれかの主体がなんらかの形で負担を引き受けるという負担分配が必要であり、これを適切に行うのであれば、分配のための適切な原則が不可欠である。このような原則を形成するための討論の空間を政策公共圏として設定する。日本政治における補助金分配の歴史は、この政策公共圏における原則形成能力を低下させてきた。利得の分配は、さほど厳格な原則にもとづかなくとも事足りるからである。これに対し、負担の分配においては、より厳密な原則が必要となる。しかし現在の日本社会では、この原則を形成するための能力が弱体化してしまっている。本書では、このような政策公共圏の現状を社会学的な分析視角から明らかにしたうえで、政策公共圏のより積極的な作動を可能とする条件を提示する。
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