フルトヴェングラー 下巻

叢書・20世紀の芸術と文学

フルトヴェングラー

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出版社
アルファベータブックス
著者名
サム・H.シラカワ , 藤岡啓介 , 加藤功泰 , 斎藤静代
価格
3,080円(本体2,800円+税)
発行年月
2004年11月
判型
A5
ISBN
9784871985321

フルトヴェングラーの名声には没後五十年となるいまもなお、暗い影がさす。彼が、ナチ政権下のドイツに留まるという、宿命的、悲劇的決断をしたためだ。一九三三年のナチスによる政権奪取後、数千人のインテリや芸術家は亡命した。しかし、フルトヴェングラーは終戦直前までドイツに留まった。この、決意ゆえに、彼は「ナチスの宣伝マン」「ヒトラーのお気に入り指揮者」「悪魔の楽匠」という、永遠に続く糾弾と非難の的となった。しかし、彼がナチに追従したどころか、公然とヒトラーやヒムラーに叛旗をひるがえし、生命の危険もかえりみず闘ったことを、本書は文献資料を駆使して克明に描き出す。下巻では、敗戦直前のドイツからの脱出劇、非ナチ化審理の過程、そして復帰後の活動を描く。さらに、遺された膨大なレコードから、『トリスタンとイゾルデ』や『指環』、ベートーヴェンの第九をはじめとする、伝説的名盤の数々を論評する。フルトヴェングラーには音楽や政治的存在の他にも種々の側面があった。読者は、この端倪すべからざる人物が問題の多い作曲家であり、多弁なエッセイストであり、日記を丹念に書き続ける人であり、誠実な友人だが逆らえば強敵となる男であり、しかも救いようのない漁色家であることを知るであろう。

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