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くりこみ群とは、精度のスケール変換に対する元の系の応答を適当なパラメータ空間上で記述した力学系であって、その固定点近傍の振る舞いが系の漸近的性質を定めるものを言う。理論物理学では無限自由度系の数学的構造をとらえるときの一つの鍵になる概念であるが、その数学的研究は入り口に近い段階にある。
本書では、くりこみ群の本質を損なわない範囲でもっとも簡単な対象と考えられる、path上の確率測度(確率連鎖)を題材とすることで、専門的な背景をできるだけ用いずに、かつ数学的正確さを損なわずにくりこみ群を説明している。
ランダムウォークとself-avoiding pathの数学の入門的解説を最初に置き、やや専門的と思われる証明などは補遺にまわすなど、初学者を意識した構成となっている。一方、基礎事項から本書の題材までを一冊で学べるように詳しい補遺を用意したので、専門的に研究したい場合にも参考になる。特に、指数型のタウバー型定理の紹介や統計力学との関係の解説は他の教科書では得がたい知識であろう。
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