佐藤超函数論と無限階擬微分作用素論の本格的解説書である。本書の特色は二つある。第一は佐藤超函数論における基礎理論の展開にFBI変換を活用する点にある。佐藤超函数は通常、層係数の相対コホモロジーという代数的に高度な概念を用いて定義されるが、この点が解析学を専攻する学生には敷居の高さを感じさせるものであった。本書ではコホモロジーは用いずに佐藤超函数を定義する。そして超函数論における種々の基本定理は主にFBI変換を利用して解析的に証明される。この点で解析学に興味を持つ者にとって近付きやすい内容となっている。第二の特色は無限階擬微分作用素について初めての解説書であること。比喩的に「シュヴァルツ超函数:佐藤超函数=有限階作用素:無限階作用素」と書くことができるように、無限階作用素を理解することは佐藤超函数論の本質を捉える上で不可欠である。無限階擬微分作用素の基礎から可逆性定理にいたる理論の主要部分が簡潔に解説されている。全編通じて必要な予備知識は最小限で済むように配慮されているにもかかわらず、殆どすべての定理等には詳細な証明が付けられている。佐藤超函数論に始まり現在も発展を続けている代数解析学に興味を持つ学生、研究者必携の書である。
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。