近年、複雑化・高機能化の一途をたどるシステム開発の現場では、ユーザーのニーズを適確に把握し、システムを効率的に開発する様々なシステム設計の手法が考案されてきました。その中でも、世の中に存在する様々なシステム設計手法を統合し、ユーザーとシステム開発者、およびシステム開発者間のコミュニケーションの架け橋となるシステム設計手法として、UMLが急速な勢いで普及しています。UMLは、システム開発を支援するだけでなく、プログラミング手法の主流となりつつあるオブジェクト指向プログラミングに準拠した仕様となっています。また、UMLは実際のシステム開発の現場で利用される機会が多くなり、システム開発において必要不可欠なスキルとなりつつあります。
一方、最近では、複雑化の一途をたどるシステム開発を支援するために、数多くのモデリングツールやCASEツールが登場してきました。その中でも、汎用的なモデリングツールとして業界標準の位置を確立しているVisioは、最近のバージョンでUMLのモデリング機能が提供されました。このことにより、VisioはUMLのモデリングツールとしても急速に普及しつつあります。また、Visioには、CASEツールとしての機能が提供されるなど、実践のシステム開発を主眼に置いた高度な機能が充実してきました。
VisioがUML機能をサポートすることにより、UMLの利用者がより一層増えてきています。そこで、本書では、UMLの基礎から説明し、さらに実践システム開発への応用方法までを網羅しました。
まず、本書の前半では、UMLやオブジェクト指向の概念について説明します。次に、中盤では、UMLにおける各図の概念やモデリングのルールを説明し、実際のモデリング方法までを説明します。そして、後半では、本書の総まとめとして、UMLとVisioを使用して要件定義段階から実装段階までをチュートリアル形式で説明します。付録には、Visioに備わっているCASEツールとしての機能をまとめました。
本書では、理解を促進するために様々な工夫を凝らしています。まず、UMLの各図の説明では、読者の立場から理解しやすいよう、様々なUML図の例を随所に入れ、文章で理解し、図で確認するという構成にしています。さらに、第8章では、第1章から第7章までの内容の総まとめとして、1つのシステム開発プロジェクトについて、設計から開発まで順に流れを追って理解できるようにチュートリアル形式で説明します。
本書では、要件定義段階から実装段階までを通して、システム開発におけるUMLの重要性と役割について理解することを目的としています。また、本書は、システム開発における設計工程に従事する方を主な対象読者としていますが、システム開発に関係する方であれば、役に立つ書籍になることを確信しております。特に、プログラマの段階を卒業し、システムエンジニアへのステップアップを目指している人や、情報系の大学での講義用テキストとして最適な一冊に仕上げております。
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。