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『危機における人間と学問』『マックス・ウェーバー基礎研究序説』の著者が、いまこの時代の転換期においてマックス・ヴェーバーを読む意味を説く。変革期知識人の役割を追究しつづける著者から、若い読者への熱いメッセージ。世間に蔓延する悪しきヴェーバー論の風潮を憂慮し、批判する書であるとともに、これからヴェーバーを読む読者への指針を与える。
目次
第一章 基本構想――ヴェーバーにおける実存的問題と歴史・社会科学
一、職業観問題――神経疾患による挫折と再起の狭間で
二、実存的原問題と「倫理」のテーマ
三、自己洞察からヨーロッパ近代の自己認識へ――「倫理」以降の展開
四、生産的批判の要件を欠く過当な一般化と裁断――「倫理」批判の問題傾向
五、同位対立と批判黙殺――翻ってヴェーバー研究のスタンスを問う
六、ヴェーバー研究の二途・「からの道」と「への道」――「への道」の陥穽
むすび――「夏の虫」は「火中の栗」を拾えるか
第二章 ヴェーバーの言葉・意味・思想・エートス論――羽入書論駁をとおして
一、論法と水準
二、四「問題」の選択規準と所在
三、疑似問題「唯『ベン・シラの知恵』回路説」
四、宗派宗教性と訳語選択
五、ルターにおける思想変化と訳語選択――『コリントI』七章二〇節の意義
六、疑似問題「『コリントI』七章二〇節訳語の時間的揺れ」
七、資料種選択と研究能率
八、生硬な二項対立図式
九、一挿話――パリサイ的原典主義の反転/回帰
一〇、疑似問題設定の代償――全業績の批判的継承への道を閉ざす
一一、資本主義の「精神」は功利的処世訓か、それとも倫理/エートスか
一二、資本主義「精神」の独自性――営利追求そのものの倫理的意味づけ
一三、功利主義への転移傾向と純然たる功利主義――キルケゴールを越えるヴェーバー
一四、「カルヴィニズムの神」の歴史的特性
一五、没意味文献学と petitio principii の創生
一六、「フランクリン研究」と暫定的例示手段
一七、「一文書資料」引用の前提
結論
注
あとがき
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