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ドイツ近代最大の詩人ヘルダーリンが、狂気の淵に沈む前夜の数年のあいだに取り組んだのは、演劇、とりわけギリシャ悲劇・ソフォクレス(『オイディプス』『アンティゴネー』)の読解とドイツ語訳の作業であった。晦渋さのきわだつ、問題提起的なその翻訳(「メタフラシス」とは古典ギリシャ語で「翻訳」)の、仏語訳を手がけた哲学者ラクー=ラバルトが、ヘルダーリンの〈演劇〉を論じる。原著所収の2論文(「メタフラシス」「ヘルダーリンの演劇」)に加え、『ヘルダーリン詩集』の仏訳へ寄せた序文を併載。精緻な哲学的読解によって、演劇の可能性を再審に付すと同時に、〈悲劇〉を通じて〈近代〉とは何かを問い直す。『近代人の模倣』(みすず書房)、『ハイデガー――詩の政治』(藤原書店)などにつらなるラクー=ラバルトのヘルダーリン論のうち、演劇に焦点をあてた重要書。
目次
序文
メタフラシス
ヘルダーリンの演劇
*
『ヘルダーリン詩集』への序文
*
註
訳者解説
訳者あとがき
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