取り寄せ不可
「大和」,「武蔵」などに装備されていた旧海軍の徹甲弾や装甲鈑の「甲鈑貫徹力」や「耐弾抗力」などの性能は世界に冠たるものと製鋼技術者として自負してはいた.しかし外国の甲鈑や弾丸と直接比較することが困難であった.そのため果たしてその通りだったかどうかについては当事者としてもいささかの疑念はあった.第二次大戦では艦隊同士が激突して砲戦を交える決戦に遭遇しなかったので,この点を実証する機会もなかった.
米軍は,戦争が終結するといち早く来日して日本海軍の技術を克明に調査するとともに日本の弾丸や甲鈑を米国に持ち帰り,実射を含む各種の確性試験を詳細に実施していた.その報告書類が機密保持期間が過ぎてワシントンの国立公文書館に移され開示された.先般その内容に接することができビックリした.戦時中に海軍が実施していた製鋼作業の実態とその製品の性能が事細かく正確に記載されており,驚いたことにベールに包まれていた「外国の甲鈑や弾丸との性能比較」も極めて正確に記載されていた.今日までのわが国の文献には全然論じられていなかった貴重な資料が包括されていたわけである.
本書はこれらを本邦初公開することになった.2000年に刊行された「海軍製鋼技術物語」を補完するための著書ではあるが,本書単独でも十分に知識欲旺盛な読者諸賢の興味をそそるであろう.
―著者―
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