食の未来を考える

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出版社
岩波書店
著者名
大澤勝次 , 今井裕
価格
2,090円(本体1,900円+税)
発行年月
2003年6月
判型
B6
ISBN
9784000068611

■大澤勝次さんからのメッセージ

 好きな食べ物は?と問われたら、すぐにトマト、カボチャ、スイカ……と浮かぶほど、野菜が好きです。焼魚は好きですが、肉は好んでは食べません。そんな僕が、野菜や果物を研究テーマにしている研究室で、園芸学に関心のある学生や院生に囲まれて過ごせるようになるとは、なんと幸せなことでしょう。しかも、北大は大学全体が、四季折々の景観に恵まれた、これ以上ないと思える癒しの大学でもあります。妻1人子4人、人生の巡り合わせに感謝して過ごしています。

■今井裕さんからのメッセージ

 私は滋賀県に住んでいます。滋賀県といえば、ふな寿司で有名なところです。なれ寿司とも言い、1300年ほどの歴史があるそうです。ニゴロブナのおなかにご飯を入れて発酵させたもので、大変な珍味です。高価なのでめったに食べる機会はありませんが、私は好きです。父は美食家でしたが、ふな寿司は腐っているといって食べませんでした。外国人も、ちょっと苦手のような気がします。これ以外に、ふぐを食べる習慣も日本独自のものかもしれません。調理法を間違えると、その毒のために命を落とすこともあります。100%安全が保障されているわけではないのに、ふぐは嫌いという人はいないのではないでしょうか。ふな寿司もふぐも、食べ物としてどんな危険性があるのか、どのようにして作られるのか、日本人なら何となくイメージできるので、食べることができるのかもしれません。
 本書は、ふな寿司やふぐよりもっと身近な食べ物についての話です。その多くは、バイオテクノロジーを駆使して作られていることを知っていただき、そのテクノロジーとはどんなものなのか、どんな狙いがあるのかについて解説しています。そんなことから、それらの食べ物がどんな危険性をもち得るのか(その逆に、意外と安心できるでもいいのですが)、ということのイメージ作りに役立てばと思います。

 大学時代は農学部の畜産学科ですごしました。学生実験の中で体外受精が取り上げられたことがあり、精子が卵子に果敢にアタックする様を見て感動しました。それがきっかけとなって、現在の生殖生物学(当時は家畜繁殖学)研究室に所属しました。もともと研究者になるつもりはなかったのですが、その時の感動を追ってゆくうちに、いつのまにか今に至っています。
 今、日本の農業や農学研究は危機に瀕していると思います。生産者の工夫や研究者の意図を消費者につたえる機会がなかなかありません。両者はもっと密接に向き合った関係にあってよいのでしょう。そうすれば、自然と安全な食べ物のイメージが湧いてくるかもしれません。情報化の時代は始まったばかりです。今後に期待するところ大です。

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