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初期の『公共性の構造転換』、中期の『コミュニケイション的行為の理論』と並ぶ後期の代表作である本書『事実性と妥当性』では、これまでのハーバーマスの政治的公共圏をめぐる社会哲学、討議理論をベースにしたコミュニケーション論を踏まえ、〈法〉の政治的根拠とその社会実践の関係が法哲学として解明される。事実性と妥当性の緊張関係を主題として、現在の危機に瀕した民主的法治国家のあるべき姿を提示し、混迷を深める世界にあらためて問いかける明察の書。1992年初版へのさまざまな反応への回答を与える「増補版への後記」も収録。
目次
第七章 協議的政治――民主主義の手続き的概念
I 規範的民主主義モデル対経験主義的民主主義モデル
II 民主的手続き、およびその中立性の問題
III 協議的政治の規範的内実をもつ概念の社会学的翻訳
第八章 市民社会ツィヴィールゲゼルシャフトおよび政治的公共圏の役割
I 社会学的民主主義理論
II 政治的権力循環のモデル
III 市民社会ツィヴィールゲゼルシャフトのアクター、公共的意見、コミュニケイション的権力
第九章 法の諸パラダイム
I 私法の実質化
II 法的平等と事実的平等の弁証法。フェミニズム的平等政策を例として。
III 法治国家と手続き主義的法理解
予備研究および補論
I 法と道徳(タンナー講義 一九八六年)
II 手続きとしての国民主権(一九八八年)
III 国家市民資格と国民的アイデンティティ(一九九〇年)
後記
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