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地獄の戦線を生き延びた兵士たち
彼らにとっての戦後とはなにか
かつて、福岡、佐賀、長崎出身者で編成する「菊部隊」という精強部隊があった。天皇家の紋章である「菊」を冠された栄光の部隊だが、敗色濃いビルマ戦線では、武器も食糧の補給もないままに死線をさまよった。
その地獄の戦線から無事生還したのはほとんど奇跡と言ってよい。彼らは戦後の混乱期も高度成長の時代も、ただ黙って働き続けた。そして戦後30数年たって老境に差し掛かったとき、彼らの胸のうちから堰を切ったように噴出する言葉があった。
「一銭五厘」とは召集令状のはがき代であり、転じて兵士たち自身をいう。その一銭五厘たちがどういう思いでビルマ戦を戦い、戦争を全否定した戦後社会をどう生きてきたか。反戦平和という戦後的イデオロギーでは届きようもない元兵士たちの暗部を探る。
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