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望郷-70年目のブラジル移民
帰郷-ある在日朝鮮人の場合
朝鮮凧-ニッポンは祖国にあらず
第2次大戦後、ブラジルの日系移民の間では「日本は勝った」と信じる人々が少なからずいた。例えば、サントスの港には各地から2千人もの日系移民が集まった。移民の長年の労苦に報いるために、戦勝国・日本の軍艦が、日の丸を翻らせて迎えに来るという噂が流れたのである。望郷の思いに駆られた移民たちが共同の幻影を見たのであった。
棄民という言葉がある。近代の国家はしばしば民を棄てたが、にもかかわらず棄てられた民は祖国幻想を捨てなかった。ブラジル移民のほか、日本生まれの在日朝鮮人、植民地時代の朝鮮で生まれた日本人と、国家の歴史によって祖国・故郷から引きはがされたゆえに、身をよじるように自分の存在の根拠を追い求めた3つのケースを取り上げる。
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