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脳神経系の働きは、外界からの体中に張り巡らした感覚器官により、これらの情報を受け取り、それぞれの処理を行った後に、各情報を処理統合した後に各々の効果器を介して行動を起こす。
外界からの入力には、光・化学物質・音・機械刺激など様々なものがあるが、いわゆる「細胞」という基本ユニットが様々な形で分化して感覚器官としての構造と機能を備えている.これにより、外界の多様性に対応して感覚器の多様化を計っている。感覚器官を見てみると多様化の中に多くの共通性が見られる。外界のこのような多様性に対して、感覚器官の細胞膜での情報変換により、より単純なセカンドメッセンジャーへと変換される。異なる刺激に対しても、細胞内では共通のセカンドメッセンジャーに変換され、かつ、これが各感覚器官に特有な細胞応答を引き起こさせる。また特殊な外界の刺激に対して、特殊な感覚装置を準備しながら情報変換的には細胞内で他の感覚器官と同様なセカンドメッセンジャーを利用している巧妙な機構に生命体の不思議を感じざるを得ない。
本書は多様な情報をどのように変換するかを各々の感覚器を例に挙げて、その分子レベルでの解析結果を紹介して頂いている。感覚器官は、情報を単に受け取り、変換するのみでなく、感作、脱感作、不活性化、活性化などの様々な機構を備えて、可塑性を有している。外界に対応するための情報の収集処理装置としての感覚器官の巧妙さを知って頂けるに違いない。
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