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書名の天使は、近代性をめぐるテーマにおいて重要な役割を果している、ベンヤミンの「新しい天使」のこと。未来に背を向けるベンヤミンの天使は、歴史の救済あるいは解放といったメシア主義的テーマを体現する「歴史の天使」である。それはヴァールブルクの「ムネモシュネ=記憶の女神」、つまり、ブルクハルトの古代とニーチェの古代という両極性を揺れ動く西洋文化の記憶のイメージにも通じている。
直線的なクロノロジカルな歴史(終末論)ではなく、つねに「動いており、作用している時間」、対面・収縮する歴史(メシア主義)の可能性を開く媒体としての天使。このベンヤミン的な近代の天使の鏡に、壮大な神学的・哲学的天使論の系譜を写し直してみること、これが本書の狙いである。天使を哲学的主題に徹底させることで、発展の論理たるヘーゲル的弁証法を乗り越える。ここから歴史主義批判の可能性が開かれる。ジョルジュ・アガンベンとの親近性を云われる所以である。クレーの「天使」のデッサンを挿む。これまで、鵜飼哲訳『批評空間』連載論文があるのみ。
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