日本における近代倫理の屈折

名古屋学院大学総合研究所研究叢書

日本における近代倫理の屈折

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出版社
未来社
著者名
堀孝彦
価格
7,150円(本体6,500円+税)
発行年月
2002年1月
判型
A5
ISBN
9784624011598

教育勅語とその護教論=国民道徳論の圧力により、日本の近代倫理[学]は、福澤、大西祝(はじめ)以降、〈屈折〉を余儀なくされる。それを第一部で、井上哲次郎、内村鑑三、和辻哲郎について検証・論述し、第二部で、近代倫理の奮闘する現代的諸相(道徳教育、被爆者、戦後五十年、学徒出陣)を確認しつつ、〈日本的エートス〉の根底的克服をめざす。
目次
序章 内発的開国の源流 ──通詞・堀達之助の周辺──
 序 《moral science》としての蘭学・英学
 一 近代的倫理の強要──ペリー艦隊応接──
 二 内発的開国の先駆──通詞の役割──
 三 「開クベキモ蘭学、恐ルベキモ蘭学」──驚異と脅威の両面感情──
 四 借用造語としての近代日本語──『英和対訳袖珍辞書』など──
 結び
 【補註】──蘭学から、漢語を介して英学へ──

第I部 近代倫理学の屈折

第一章 大西祝 ──近代倫理学の形成──
 はじめに
 一 永久革命としての「批評」
 二 教育勅語と倫理学説
 三 『良心起原論』
 四 良心論の特色(大西・井上・内村・和辻)

第二章 井上哲次郎 ──国民道徳論への屈折──
 序 近代日本における倫理学の特殊性
 一 国民道徳論の形成
 二 『国民道徳概論』の内容──伝統的国体論──
 三 井上哲次郎の“受難”
 四 国民道徳論の行方

第三章 内村鑑三 ──神律による自律──
 一 「国民道徳論」による近代市民倫理学の屈折
 二 プロテスタンティズムとの格闘──忠誠の解体と再編──
 三 近代的エートス
 四 再臨論と近代批判
 〔付論〕内村鑑三の平和思想──信仰と倫理──【報告】

別の選択への想像力

第四章 出陣学徒と近代倫理 ──『わだつみのこえ』を聴く──
 序 学徒出陣の概況
 I 環境(入学~入営)
 II 主体
 III 他者
 IV 国家など
 結び 人間性謳歌と問題点

あとがき
人名索引(巻末)

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