労働過程論の展開

労働過程論の展開

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出版社
学文社
著者名
鈴木和雄(経済学)
価格
4,180円(本体3,800円+税)
発行年月
2001年11月
判型
A5
ISBN
9784762010767

本書は、第2次大戦後の先進諸国の労働者が経営側に協調的な、
(すくなくとも反逆的でない)態度をとるにいたった理由を
労働者統制システムの観点から考えてみたい、という関心からできあがった。
この関心はつぎのような素朴な疑問に発するものだった。
もし労働者が資本主義システムに満足しているとすれば、
その理由として、(戦前とくらべての)高賃金や豊かな消費生活や
高福祉といった事情も考えられるけれども、
まずは生産点において作用している構造や関係があるはずであり、それは何であるのか、という疑問である。
『資本論』を研究していたわたくしがまずもとめたのは、
マルクスの時代から20世紀全体をつうじての職場における労使関係の変容の大まかな見取り図であり、
この変容の原因をあきらかにしようと試みる研究であった。
しかし日本における労使関係や労働過程にかんする諸研究は、
少数の研究をのぞくと、わたくしが抱いた疑問に答えをあたえてはくれなかった。
対象とする労使関係が時代的に古すぎたり、個別的な細かすぎる側面をあつかうものであったり、
『資本論』の現代的労使関係への強引な適用と思えるものであったり、
逆に現代的にすぎる研究しか存在しなかった。
わたくしは欧米の研究に頼らざるをえなかった。
さいわいなことにブレイヴァマンがひきおこしてくれた論争のおかげで、
以上の問題関心と重なりあうような労働過程にかんするすぐれた研究が存在した。
これらの研究にみちびかれて執筆したのが本書のもとになった諸論考である。
初出はいちおうかかげておいたが、これらの論考のうちとくに執筆時期が早いものについては、
論点を拡充し主題のいっそうの展開をはかったほかに、論旨の力点のおきかたの点でも構成の点でも、
原型をとどめないほど改訂をくわえた。本書はこのように、欧米の研究成果を手探りしながらはじまったわたくしの労働過程研究の序説をなすにすぎない。
当初の計画では、サービスセクターにおける統制構造の独自性を論じた諸論考をも収録し、
労働過程論の新たな展開方向を提示しておきたい。

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