取り寄せ不可
2025年には83億人に達するといわれる世界人口を支える食糧は、農業、畜産業、水産業が供給する。水産業の基幹である漁業では、天然資源の採取を主とした生産体系をとっている。 国連食糧農業機構は、世界の多くの漁業対象種で乱獲によって資源水準が悪化しており、将来の食糧安全保障と収入確保には自然・人工の水域での水産資源増強が重要な役割を果たすと予測している。
人工ふ化放流は130年の歴史をもっているが、ふ化したばかりの仔魚を放流するいわゆるふ化放流は失敗に終わった.海産魚を対象として1963年から始まった日本の栽培漁業は、世界にさきがけて、ふ化放流ではなく種苗生産技術によって、生き残りの高いサイズまで育成して放流することを目指し、36年が過ぎた。
たとえ公海であっても海洋資源の利用が厳しく制限されるようになり、排他的経済水域の本格化により、魚食民族である日本人は、今後日本の周辺海域の水産資源の持続的利用を余儀なくされている。栽培漁業がそのための方策の1つとして期待されている。高度経済成長の始まりとともに誕生し大きくなった栽培漁業は、環境問題、構造改革と国際化という問題を抱え、これまでとは違う大きな曲がり角にさしかかっている。
本書は、以下の3つの目的を持って書かれている。
栽培漁業への社会的関心を高め、理解を深める。
種苗放流によって、減少した資源の回復と漁業生産の増加が可能かどうかを評価する。
その評価を行うにあたって用いた統計手法の数々を整理する。
分析ではすべて実際のデータを用いているが、事例紹介的な扱いは避け、一般的な結果を抽出するようにした。種苗放流の影響の評価方法にも重点をおき、これまで研究した統計的評価手法を駆使して、具体的な分析例とともに紹介した。
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