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生物の活動と増殖は、細胞のさまざまな膜系で営まれているエネルギー変換によって支えられている。太陽の光エネルギーは光合成によって酸化還元によって容易に取り出せる化学エネルギーとして生物界に固定され、 ATPの化学エネルギーや生体膜を隔てたイオンの電気化学的勾配というポテンシャルエネルギーを介して、広く生物に利用されている。膜エネルギー装置は、多くの場合、膜タンパク質複合体であるが、機能ドメインに着目すると既存の酵素・タンパク質の分子共生によって進化し、また、部分的な構造改変によって多様な生理機能を発揮できるように分化してきたことがわかってきた。
本書は、このユニークなタンパク機能を発揮する代表的な分子装置に焦点を当て、最新の結晶構造解析の成果を踏まえて、各分野の第一線の研究者が膜エネルギー装置の生理的な役割と分子機能を平易に紹介する。
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