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西欧人の見た「残虐な征服者」は、西欧をはるかにこえる先進国だった。羊飼いでも大臣になれる開放的な社会。キリスト教世界で迫害されたユダヤ難民を受け入れた宗教的寛容性。多民族・多宗教の超大国を支えた「柔らかい専制」の秘密に迫る。
ユダヤ難民を保護した寛容性――近代西欧を見なれた我々にとって、西欧社会は開放的で合理的な社会だというイメージが定着している。そして、キリスト教も、合理的で寛容な宗教とイメージされがちである。これに対し、イスラム世界は閉鎖的で非合理的な社会であり、イスラムは不寛容な宗教だというイメージが強い。しかし、少なくとも中世から初期近代までは、実態はむしろ逆であった。……15世紀以降になると、それまではムスリムの支配下に安全に暮らしてきたスペインのユダヤ教徒も、(キリスト教徒に)厳しく迫害されるようになった。この時、迫害に耐えかねた彼らが安住の地として大量に移住した先が、オスマン帝国だった。ノーベル文学賞受賞者であるオーストリアのエリアス・カネッティも、彼らの子孫の一人である。かつてはオスマン領だったブルガリアのルスチュクに生まれ、ユダヤ人差別の存在をまったく知らずに育った。スイスの学校に入ってはじめて自分が差別される存在であることを知ったと、その自伝で述べている。――本書より
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