数学の考え方

講談社現代新書

数学の考え方

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出版社
講談社
著者名
矢野健太郎(数学者)
価格
814円(本体740円+税)
発行年月
1984年10月
判型
新書
ISBN
9784061154155

数学には、私たち人類の長いあいだの貴重な経験が集積されている。数学の歴史を、細かい計算や技巧の歴史としてではなく、考え方の歴史、思想の歴史としてふり返るとき、人間の豊かな知恵の結晶した新しい数学の世界が開けてくる。本書は、数学の歴史の転回期に現われたいろいろな考え方を具体的に紹介し、現代数学の思想を興味深く解明する。

ターレスの発見――有名な「二等辺三角形の両底角は相等しい」という定理。これはターレスが発見し、その証明をあたえたものです。ターレスは、三角形ABCと、それを裏返した三角形ABCとを重ね合わせることを試みます。角Aは裏返した角Aに重なります。また、ABとACは同じ長さですから、ABとACは重なります。同じようにACとABも重なります。したがって、角Bは角Cに重なり、角Cは角Bに重なります。これで、二等辺三角形の両底角は相等しい、ということが証明されたわけです。なんだあたりまえではないか、という印象をもたれたかもしれません。事実、あたりまえのことなのですが、そのあたりまえのことの正しいことを証明し、それを応用した点にターレスの功績があります。――本書より

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