「般若心経」を読む

講談社現代新書

「般若心経」を読む

取り寄せ不可

出版社
講談社
著者名
紀野一義
価格
924円(本体840円+税)
発行年月
1981年2月
判型
新書
ISBN
9784061456068

人は時として人生に空しさを感じ、迷い、心の支えを求める。生きる力を、救いを与えてくれる世界はないものか。「般若心経」は、衆生の苦厄を救うために説かれた。この世に存在するすべてのものは、実体がない。ゆえに、迷いも、苦しみも、老いも死もなく、永遠のやすらぎがえられるという。「ぎゃあてい ぎゃあてい……」の呪文は、さとれる人への、それを目指さんとする人への讃歌である。信ずるとは、さとりとは、真実とは、「空」とは、「色」とは、生きるとは……。人が生きてゆくうえでぶつかる様々な悩みを通して、「般若心経」の真髄に迫る。

空しさの中にゆたかさを見る――たしかにこの世は空しい。人間のすることもあてにはならない。しかし、あてにはならないと思っているからこそ、時として、人間とはなんとすばらしい存在だろうと思えるのではないか。生きていることは確かにあてにならない。人の命はまことにはかないものである。だからこそ、今生きているということが、たとえようもなくすばらしいことだと感じとられるのではないか。そのとき、空しかった空(くう)はもう少しもむなしいものではなく、広大無辺なひろがり、神の胸、仏のふところ、あたたかな永遠の生命の中にぴったりと抱かれていることに気づく。それを「空即是色」というのである。そんなゆたかな、ゆったりとした、途方もない人生が、この世の中にちゃんと実在するのである。それを私たちは、「真実」と呼ぶのである。――本書より

お気に入りカテゴリ

よく利用するジャンルを設定できます。

≫ 設定

カテゴリ

「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。

page top