取り寄せ不可
望遠鏡空間が怠けて楕円形になり、2角形になり、抛物線になり、溶けてしまつた。無色透明の美しい少年が水晶のパイプを喞へてカメラのなかに現はれてくる。こんにちは、私の美しい白い写真師! 写真師はプラットフオオムの椅子にゐる。
(「硝子の夜の少年の散歩」)
「新しいキャンバスの上にブラッシで絵を描くように、北園克衛は原稿用紙の上に単純で鮮明なイメージをもった文字を選び、「たとえばパウル・クレエの絵のような簡潔さをもった詩」を書いた。つまり「意味によって詩(ポエジイ)を作らない」で、「詩(ポエジイ)によって意味を形成」したのである。この実験はあまりに厳しく従来の詩の概念を破壊してしまったので、我が国では不当に過少評価されてきたが、逆に外国では多くのすぐれた理解者に出会った。北園克衛の世界。それは説明ぬきの感覚に、いきなり飛躍する表象や象徴にみちみちている。」――清水俊彦
『白のアルバム』から『黒い火』『真昼のレモン』へ、そして――。国際的な前衛芸術運動と並走し、つねに新鮮な詩的実験を展開しつづけた詩人のエッセンス。
解説=篠田一士 藤富保男
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