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◆第一句集
つなぎし手離れて春を惜しみけり
この句集を読む楽しみは、ミニシアターに通う楽しみに似ている。映像と音響とストーリーの迫力で観客を圧倒する大作より、観客の生き方にそっと寄り添うような佳品を揃えてファンを迎える。ミニシアターを出る客は、いつもと変わらない世界がいつもより親しみを増して見えることに気づくのである。
序より ・ 小川軽舟
◆自選十句
次に来る波は大波多佳子の忌
スケボーが風の尖端五月来る
ハンガーを滑るブラウス神の留守
二次会に行く輪行かぬ輪冬の月
火蛾舞ふやボクサー打たれても前へ
春虹のほとりに傘を忘れけり
秋扇バブル時代を懐かしむ
短夜のジャンクフードに指汚す
秋の夜のミニシアターのロビーかな
水草生ふ教室ごとに時間割
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