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言えない。絶対に言えない。
彼の知らない、小さな宝物のことは。
アイリスは幼くして親に捨てられ、子供のいない夫婦の養女となるも、
養父母に悲願の実子が生まれると厄介者扱いされるようになった。
愛のある家庭に人一倍憧れたアイリスは、23歳でラクランと結婚した。
しかし子供ができず、養子を迎えようという夫の提案も、
不遇な養女だった自らの過去を告げられぬまま拒み、離婚したのだった。
あれから8年。今、アイリスが働く病院に、
3カ月の短期契約で新しくやってきた医師に、彼女は驚いた。
離婚以来ずっと音信不通だった元夫、ラクランが現れたのだ!
アイリスの胸はちくりと痛んだ――彼と家族になれなかった過去に。
そして、今は独りで7歳の愛娘を育てているという秘密に。
心の機微を巧みに描き、最後には読み手をほろりとさせる物語で大人気のS・ウィルソンの感動作をお贈りします。8年前と変わらずハンサムで誠実なラクランと再会し、二人の時間を過ごすうち、アイリスは彼を愛している、いや、ずっと愛していたことに気づき……。
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