歴史のなかのEU法

歴史のなかのEU法

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出版社
有信堂高文社
著者名
山根裕子
価格
4,620円(本体4,200円+税)
発行年月
2023年6月
判型
B5
ISBN
9784842040677

欧州の平和を求め大戦後の荒廃から発展したEUは、市場統合をその方法とし、生産財の域内自由移動を狙い、競争法適用に取組んできた。EU独自の知財権保護制度も導入しつつ、デジタル化等の技術革新に対応し、知識経済の形成を目指す。東西ヨーロッパの融合や刑事の国際化に布石を打って制度化された基本権保障中心の「加盟国共通の価値」は、市場統合過程に実質的な効力を与えている。一方で、東方への拡大は旧ソ連内外の紛争を内在化させ、再び米国の介入を招いた。経済政策や安全保障等の分野において欠如するEU権限のもとで、EU統合に多大な貢献をしてきた司法裁判所の役割はさらに重要な役割を果たすに至る。「加盟国共通の価値」による統合は、再帰的歴史観や地政学を克服し、複雑化する欧州の現実に対応できるのか。

以下コラム1-48に事例や司法裁判所判例を置くなどEU統合の法理論と実務を解説する。
■第Ⅰ―II章 EU制度の発展■  Cassis de Dijon判決/英国と大陸ヨーロッパ/先行判決付託義務/Van Gend en Loos判決--直接適用・効果の条件/Costa v ENEL判決と「EU法優位」の意味/二次法規の直接効果要件/基本的権利に関する合同宣言/NATO とワルシャワ条約機構/シェンゲン・ダブリン協定/情報開示と司法アクセス/天然ガスパイプラインをめぐる判決と連帯原則
■第Ⅲ章 EU対外関係の法■ AETR判決とEUの協定締結権/EU・シンガポールFTAに関する裁判所意見2/15/Racke事件の背景/グローバルな海事機関、海洋汚染とEU立法/西サハラの歴史と国連
■第Ⅳ章 加盟国共通の価値■ EU 基本権憲章の構造/欧州人権条約加入協定案に関わる裁判所意見2/13/物及び役務の自由移動と表現の自由/ne bis in idem原則/個人データ保護に関する旧指令95/46の原則/データ保護と自由/GDPR の骨子/刑事・警察協力のための諸機関/短期査証の発給権限
■第Ⅴ章 EUの競争政策■ 基本条約上の競争法規程と合併規則/合併分析のガイドライン例/TFEU 101・102条下制裁金の目的と抑止力/協調行為と価格に関する情報交換/TFEU 101・102条の執行と委員会の権限/「良き行政」原則の由来-Tradax訴訟/職員による情報取扱上の義務/Solvayと文書アクセス権/第三者の防御権/行政措置採択手続と刑法上の原則/ne bis in idemに関する競争法判例/「支配的地位の濫用」規制とIntel による取消訴訟/デジタル・プラットフォームに対するEU競争法適用例/特許戦略と支配的地位の濫用
■第Ⅵ章 EUの知財保護制度■ 並行輸入阻止行為への競争法適用:初期の選択とその修正 /産業政策とSPCの改正/コンピュータ・プログラムの中古販売と著作権の消尽/データベース権の根拠/公衆への伝達権と著作・隣接権/OCSSPの責任体制/Monsanto v Cefetra判決/EU 加盟国間の地理的表示紛争/再生医療研究と「ヒト胚」

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