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これまで江戸思想史の研究者たちは、「パックス・トクガワーナ(徳川の平和)」と称される二百六十年余の間に営まれた、豊饒な江戸思想史の世界を掘り起こしてきた。ただ一方で、個々の面白い事実は相当数、積み上がってきたのだが、それらの事実を組み込んで、新たな江戸思想史として構成するチャレンジは行われていない。(中略)しかし、現代に生きる一人の思想史研究者として、個性豊かな思想家の思想や広く流通している観念を自らの構想力によって構成して、新たな江戸思想史の全体像を提示することが必要であると考えている。この「江戸思想史の再構築」という、少し大仰な書名には、こうした野心が込められている。(本書「あとがき」より)
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