鶴見俊輔の言葉と倫理

鶴見俊輔の言葉と倫理

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出版社
人文書院
著者名
谷川嘉浩
価格
4,950円(本体4,500円+税)
発行年月
2022年9月
判型
四六判
ISBN
9784409041215

鶴見哲学の中心へ



哲学と市民運動をまたぎ、戦後日本に巨大な足跡を残した鶴見俊輔。しかし、その平明な語り口とは裏腹に、思想の本質は捉えがたく、謎に包まれている。鶴見は今も読まれるべきなのか、もちろんそうだ。残された膨大な言葉の数々に分け入り、単純化を避けつつ独自の視点から思想の可能性をつかみ出し、現代の倫理として編み直す。鶴見俊輔生誕100年、気鋭の哲学者によりついに書かれた決定的論考。



?「鶴見俊輔の哲学に価値があるのだとすれば――私はあると思うが――、彼の言葉を、そんなよそよそしい位置に放っておかずに、深く、適切に読み解くことで、彼の知的遺産をきちんと相続した方がいい。私が本書で試みるのは、彼の言葉を深く解釈し、現代の私たちが生きうる倫理へと再編集することであり、その仕事を通じて、彼の哲学を知的遺産として批判的に継承することだ。まともに読み解くことなしに、鶴見の言葉を、私たちの時代の経験に変えることはできない。」(本書より)



◎目次

はじめに



導入 ハックルベリー・フィンと悪の自覚――エピソード、(再)編集、境界  

 一 「よし、それじゃあぼくは地獄へ行こう」

 二 読み、つかみ、憶え、編集する――「語る」のではなく「示す」

 三 鶴見俊輔の言葉を再編集するという方法

 四 「根っこにハックルベリー・フィンの伝統が生きている」

 五 「文明を横に観て、そのそばをすりぬけてゆく」

 六 「二つの世界を往復する人間、境界線上に立つ人間」

 七 「聞いている方にはわからない時もある」

 八 「ちゃんと読む」という扱いを受けてこなかった思想家

 九 本書の構成



鶴見俊輔小伝  



第一部 書く、読む、書く  



第一章 鶴見俊輔は、なぜ作文が知的独立性の問題だと考えたのか――生活綴方、想像力、アナキズム、期待と回想

 一 天才と秀才はどう違うのか――桑原武夫の鶴見評

 二 理論と実感の隘路――生活綴方と、一九五六‐五八年の鶴見

 三 詩的想像力の方へ――佐藤忠男の生活綴方論

 四 The Exactness is a Fake. ――言葉選びという倫理的課題について

 五 アナキスト、ソローの森での生活記録――準拠枠としての過去

 六 原体験への誠実さ――期待と回想

 七 矛盾の認識から、矛盾の吟味へ



コラム1 消極的であることほど難しいことはない――ネガティヴ・

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