非暴力的抵抗の可能性
非暴力をもって、法を超えた正義に訴える行動「市民的不服従」。ガンディー、キングにはじまるその歴史を、近年のBLM、環境運動、ウィキリークスまで踏まえ、ロールズ、アーレント、ハーバーマスを理論的基軸に、実践と概念の変遷を多角的・総合的に論じる。市民による非暴力運動は、いかにして正統性をもちえるのか。定評あるポリティプレス「キーコンセプツ・シリーズ」の入門書。
「市民的不服従が手段としての暴力を肯定する考え方からの決別の方法であると強調したい。それは、とりわけ日本のような暴力の正当化の論理が浸透している社会の変革に有効である。非暴力的抵抗は、エリートの政治的な意思決定に影響を及ぼすだけでなく、参加者の世界観や振る舞い方に変化を引き起こす。それは、既成の文化を刷新し、新しい文化を創造するのだ。不服従者の創出する「非暴力の文化」は、社会変革の道標である。市民的不服従を今日の日本社会で議論する意義は、ここにある。」(解説より)
○目次
序論
なぜ市民的不服従なのか
どの市民的不服従か
市民的不服従はどこに向かうのか
第1章 神の証人
市民的不服従とサッティヤグラハ
原理に基づく法律違反
ガンディー、アメリカに渡る
神と共に正しきをおこなう――あるいは、同胞市民と共に?
第2章 リベラリズムとその限界
市民的不服従 対 良心的拒否
サイコロを振りなおす
不服従と法の支配
リベラリズムを超えて
第3章 デモクラシーを深化させる
ジンの挑戦
市民的不服従、法、革命の精神
市民的不服従――合法性と民主的正統性との間
国家を超えて?
第4章 蜂起するアナキスト
政治的アナキズムと直接行動
哲学的アナキズム─ ロックとソローへの回帰?
生き残るアナキズム
第5章 ポスト国民国家化と民営化
ロールズ再訪
ポスト国民国家化と民営化
ロールズの市民的不服従論に対する新たな脅威
何が残るのか――ロールズの市民的不服従論の現在
第6章 デジタル化
デジタル領域での不服従、監視、法の支配
市民的不服従としての
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