再開発は誰のために?

再開発は誰のために?

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出版社
新評論
著者名
竹居治彦
価格
2,640円(本体2,400円+税)
発行年月
2020年2月
判型
四六判
ISBN
9784794811448

行政とマンション業者が手を組むとどんな違法建築物でも建てることができる。本書では法治国家日本で起きている現実を、渋谷区と住友不動産が手を組んで建てた違法マンション「ラ・トゥール代官山」を題材に解き明かした。
 渋谷区鶯谷町は第2種低層住居専用地域であり、建物の高さは高さ12メートル、容積率60%までと規制されている。そのような区域に、2010年、高さ17メートル、容積率200%のマンションが完成した。その外観は陸に上がった巨大空母さながらで、閑静な住宅地の景観を一気に破壊することになった。筆者の住まいはこのマンションと数メートルしか離れておらず、擁壁のような建物に太陽も空も奪われ、プライバシー侵害によってそれまでの「安静な日々」が「不安と不快の日々」へと激変した。
 建築過程において住民は、渋谷区にその違法性を申し立て、裁判でも訴えたがすべて門前払いされ続けた。マンション完成の3年後、筆者はあることをきっかけに、渋谷区長と住友不動産との間に癒着の腐臭を嗅ぎ取り、たった一人で探り出す決意をした。区に情報開示を求め、粘り強く取材を重ねて癒着の全貌をまとめたのが本書である。
 2000年代前半、バブル崩壊で経営危機に陥った不動産企業を救済するため、小泉内閣は「聖域なき構造改革」を断行した。さらに「都市計画法」と「建築基準法」が大骨小骨を抜き取られた「総合設計制度」。この制度を悪用し、都市再開発という名のもとに違法・脱法行為が適法化されていくプロセスには慄然とさせられる。90歳の筆者が本書で訴えかけたいのは、住民の意思と暮らしを蹂躙するデベロッパーの所業とそれに荷担する行政の実態である。そして、これは渋谷区に限らず日本中どこででも起こり得るということ、同時に住民の生命と財産を守るはずの「都市計画法」が有名無実化することで街がはらむ「危険」に警鐘を鳴らしている。(たけい・はるひこ)

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