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大学医学部教授が、大学付属病院の院長に選ばれ、その後学長に選出される事は多い。しかし禿鬢学長のように、自分に与えられた職責に敢然と挑むことを決意する学長は多いかどうか。
禿鬢学長は、独立行政法人として歩み出してまだ日の浅い国立大学が抱える様々な問題点を、大学の教職員、事務職員、全学生に分かり易く言葉を変えて熱心に説いていった。そうすることで、大学全体としてまとまった方向に指導していこうという決心はやがて大学を動かし始めた。入学式や卒業式といった公式の場での式辞、年間行事や海外視察、会議・折衝、患者と医師、四季折々の自然の営みまで、感じたことを率直に表した文章は、読む人の心に直に訴えるものがある。
第一章の「変革する大学」では、現状の最高学府が抱える問題点とその解決策に対する著者の考えが示されている。特に世界一の環境先進大学たろうとする意気込みは、他を圧倒するものがあり、その実績も着々と上がっている。
第二章の「自己変容型知性を目指して」では、現在の学生の特質に触れ、より良い学生となるには何を目指さなければならないかを分かり易く説くとともに、人は何時いかなる時にも知性を磨くことを考えるべきと力説する。
第三章の「式辞」では、学長として入学式や卒業式等に学生に送る言葉が集められている。いずれも真心あふれる学生思いの文章になっている。
第四章の「明るい未来」では、戦争と平和について考えるとともに、最近起きた自然災害がもたらした恐怖と教訓から、我々は何を学ばなければならないかを考察している。
第五章の「高齢社会、男女共同参画」では、否応なくやってくる我が国の超高齢社会に対して、今後どのように対峙していくかのヒントが述べられている。また、この世の中で男と女がうまく共存していく具体的な提案や、他国の事例を引いて今後の社会のあり方を模索している。
第六章の「病との闘い」は、一人の医師として今までに関わった患者さんの生き様を描き、読者に感動を与える素晴らしい章となっている。その中には、若くして亡くなったが精一杯生きた人、身体的ハンディキャップをものともせず仕事に頑張っている人々等、涙なくしては読み得ない珠玉の文章として綴られている。
第七章の「何とかなるさ」では、人生の折りにふれて著者の頭をよぎった考えをまとめたもので、人生を生きるうえでの重要な示唆が多く含まれている。
第八章の「訪問記」では、原発事故にあえいでいる福島に、同じ医師として重責を担っている病院長を見舞う話のほか、いろいろな出張先での見聞をまとめたもので、外国旅行記としても読んで楽しめる内容となっている。
これら禿髭学長の叡智あふれる文章は、私たちに明日を生きる勇気と知恵を与えてくれ、読者の目を覚まさずにはおかない。
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